Sunday, July 24, 2016

[Singapore] 東京カレンダーのシンガポール特集はSJ50だったがその後の記事は味をしめただけか

昨年のシンガポール建国50周年のSG50に引き続き、今年はSJ50だとよくウェブ上で目にすると思います。SJ50とはシンガポールと日本の外交樹立50周年のことで、またそれにあたり両国の政府観光局がそれぞれ観光を促進するための事業を行うものです。

シンガポールの政府観光局は日本人向けにSJ50の特集ページを作っています。
http://www.sj50.jp/

日本の政府観光局のウェブサイトでは両国政府観光局の活動計画が紹介されています。
http://www.jnto.go.jp/jpn/news/press_releases/pdf/20160128_press_release.pdf

内容から、日本の政府観光局はシンガポールからの観光客誘致のための活動を行い、シンガポールの政府観光局は日本からの観光客誘致のための活動を行うものであると理解できます。日本の政府観光局の取り組みは例えばJapanese Restaurant Week in Singaporeとして、シンガポールの日本料理店などで日本旅行の当たる抽選の張り紙などが掲示されていたのを記憶している方も多いと思います。シンガポールの政府観光局の取り組みは、日本のスーパーマーケットの成城石井でシンガポール料理を惣菜にしたものを販売するなどです。

成城石井での取り組みは下記にて紹介されています。
http://www.seijoishii.co.jp/whatsnew/press/desc/182

海南鶏飯、プロウン・ミー、チャー・クェイ・テォ(※ウェブサイト上の表記を引用、正式な発音はチャーオ・クァイ・ティアオだと思います)等が販売されたとのことです。シンガポール風ラクサを発売した結果、一般社団法人新日本スーパーマーケット協会主催の「お弁当・お惣菜大賞2015 麺部門」で最優秀賞を受賞し、シンガポールの政府観光局の目に留まったのがきっかけのようです。

いくつか事例を紹介しましたが、これはいずれも費用がかかるもので、当然のことながら両国の税金が使われています。日本政府観光局の取り組みは日本の税金、シンガポール政府観光局の取り組みはシンガポールの税金です。

上記の日本政府観光局のウェブサイト上ではシンガポール政府観光局の連絡先が博報堂内となっています。つまり、シンガポール政府観光局が博報堂に関連の活動を委託、博報堂がシンガポール政府観光局とともに活動のアイデア出し、実施等をしていることが伺えます。

そこで最近話題になっていた東京カレンダーのシンガポール特集「シンガポール・ラブストーリー」。記事自体は、シンガポールに旅行にきた日本人女性と現地で働く日本人男性の出会いを通じて、そのなかで様々なシンガポールの観光地やホテル、料理店等を紹介していくというものでした。これはとても話題になりました。現地在住日本人だけでなく、普段シンガポールに関わりのない日本の知人のフェイスブックなどでも言及されていたりしました。下記のようにシンガポール政府観光局のフェイスブック上でも紹介されていました。

東京カレンダー シンガポール・ラブストーリー
https://tokyo-calendar.jp/article/5751


記事の一番上の左側にPRと書いてあります。これは、この記事はスポンサーがお金を出して書かれた記事である、ことを示しているのではと考えられます。つまり、シンガポール政府観光局→博報堂→東京カレンダーの流れで業務委託がなされて、費用が東京カレンダーに支払われているものと想定されます。

問題なのはその後に出てきた同じくシンガポール特集なのですが、「シンガポール大逆転」という題で、10以上の記事が書かれています。

東京カレンダー シンガポール大逆転
https://tokyo-calendar.jp/story/3991

日本人女性がシンガポールに移住し現地のお金持ちの男性を見つけ結婚、今まで自分を見下していた人たちを逆に見下し返す、駐妻は現地のお金持ちと結婚した人や金融系の仕事をしている人と結婚した人達にくらべて最下層である、どういう人がAランクで、Bランクで、住んでいるコンドでもランクが決まる、という虚栄心だけに訴えかけるような記事です。事実誤認があったり、シンガポールの文化・食などが一切紹介されていない、シンガポールの写真も一切ないなど「シンガポール」をネタにただひたすらに虚栄心に訴えかけるような記事を書いているだけに見えます。

日本だと相手にされなくなった女性でもシンガポールで日本人の市場価値が高くちやほやされる、とシンガポールが逃げ場のような形で書かれているし(シンガポールはこんな理由で日本人に来てほしいのでしょうか?)、11番目の記事では「何よりもエリカが呆れてしまったのは、東京では明らかに市場価値が低いに違いない日本人の女たちだった。 売れない年増のモデルや、プライドばかり高いCA、明らかに恋愛目的でシンガポールに逃げるようにやってきて、金持ちを渡り歩く女たちにしょっちゅう遭遇した。」「シンガポールは確かに景気がいいかも知れないけど、言ってしまえばお金だけ。結局、東京の方がずっとずっと洗練されてると思うわ。」と、登場人物のコメントとはいえ、シンガポールを見下しているようにしか見えません。

これらのシリーズについてもSJ50でシンガポール国の税金が出ているとしたらお金の使い方として問題になるレベルだと思いますが、「シンガポール・ラブストーリー」にあったようなPRの記載はないので、そうではないのだと思います。
想定としては、「シンガポール・ラブストーリー」が成功して多くのページビューを獲得できたため、東京カレンダーが自分たちでもシンガポールをネタに記事を書いたが、品質を管理できずに結局「シンガポール・ラブストーリー」でお客さんであったはずのシンガポールのイメージさえも悪くするような記事を量産してしまったという状況なのかと思います。

ちなみに、もともと上記のシンガポールの政府観光局のSJ50の特集ページから「シンガポール・ラブストーリー」へのリンクが貼ってあったのですが、今はなくなっています。

その国へのリスペクトがあるかどうかはその文章を読めばすぐにわかってしまいます。今後について敢えて言うならば、そこに最大限気を遣いながら、本当に読者がシンガポールに行きたくなるような文章、シンガポールの人が日本の人に読んでもらいたいと思うような文章を書くことが大事だと思います。そうでなく、ページビュー稼ぎのためだけにシンガポールを引き合いに出すことはシンガポール人、シンガポールが本当に好きで住んでいる人、志を持って移住した人に失礼です。

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