Sunday, May 24, 2015

[Singapore] 建国50年記念LINEスタンプから学ぶシンガポール文化

LINEはシンガポールの地下鉄の駅などで広告を目にしたりと、シンガポールでも普及に相当力を入れていることが伺えます。先日、シンガポールの携帯電話でダウンロードできるLINEのスタンプに、シンガポール建国50年記念の無料スタンプが登場しました。ひとつひとつ見てみると、かなりシンガポールの文化について研究したか、シンガポール拠点のスタッフとうまく連携するかして作った印象を受けました。シンガポールの文化が凝縮されたものになっていて、せっかくなので下記に紹介したいと思います。左上から右の方向に(1)~(4)、次の列は(5)~(8)、…としています。




(1)プロポーズ。女性はまず「どんな大きさのダイヤの指輪がもらえるのかしら」と考え、男性は「これでようやくHDB(住宅開発庁HDBが供給する公団住宅)が買える!」と考えます。HDBは政府補助が出ており安価に購入できるようになっているのですが、結婚しないと購入できないためです。※世帯所得が一定以上だと購入できず、不動産開発業者から物件を購入することになります。またHDBは結婚していない場合でも35歳になると中古のものが買えるようになります。

(2)後ろに見えるのはマーライオン。

(3)席取り。CHOPE : 英語のChopから。シンガポールでは、フードコートやホーカーセンターで席を取るとき、ポケットティッシュなど盗まれてもよいものをテーブルに置きます(日本のように鞄を置くことは絶対にしません)。英語のChop (= ハンコを押す ※アジア特有の用法?)のように、ティッシュ等を置くこと、それにより席にマーキングする意味で、この言葉が使われるようになったと思われます。人に取られる前に取らなくてはならないため、勢いでティッシュが舞っています。

(4)週末。週末はイーストコーストパークで自転車を借りてサイクリングを楽しむ人も多いです。

(5)後ろに見えるのはマリナベイサンズ。

(6)「向かっているところだよ」。OTW : On The Way = 向かっている途中の略。後ろの標識に見えるのはERP :Electronic Road Pricingの略で、日本でいうETCの意味です。つまり高速道路で(=急いで)向かっているということでしょうか。

(7)「今夜ご飯一緒にどう?」。イメージしているのはチリクラブ。

(8)「夕食一緒にどう?」左側は南インド出身者がマレーシアに持ち込んだRoti Canai(ロテイチャナイ)。ぐるぐる回しながら遠心力で薄く伸ばします。更には空中に投げたりします。右側はTeh Tarik(テータリック)と呼ばれる両手をいっぱいに離して注ぐコンデンスミルクの入った紅茶。不思議と紅茶が下に構えた入れ物やグラスに吸い込まれていきます。そうすることで、泡立ちがよく、またリッチな味わいになるそうです。それを一緒に注文するのが定番です。マレーシアでは、どちらも職人による大会があるそうです。味わっておいしい、見ておいしい料理ですね。

(9)「気持ちいい!」。SHIOK : パンジャブ語(インドとパキスタンにまたがるパンジャブ地方の言葉)が語源となった(らしい)、おいしいものを食べたときや贅沢な体験をしたときなどに、満足した!たまらない!気持ちいい!と言いたいときに使う言葉。一言だと爽快!でしょうか。実際に中華系シンガポール人は、中国語で同様の意味の「爽(Shuang3 ※3は三声)」と同じ感覚で使っているようです。ドリアンは日本人からすると濃厚すぎるくらいの味・食感ですが、東南アジアでは好きな人は多いです。アルコールと一緒に摂取するとおなかの中で発酵が進むため危険です。

(10)行列に並んでいます。シンガポールでは、ATMや人気のカフェ、ホーカーセンターの人気のお店では待っている人が行列になっているのをよく見かけます。シンガポール人は、「日本ではなぜ行列してまで食事をするんだ」と言いますが、シンガポール人も並ぶときは並んでいます。行列は米式英語では、Lineですが、英式英語ではQueueになります。タクシーに並ぶための場所には、略して「Taxi Q」と書かれた標識が掲げられていることがあります。

(11)「上官、承知しました!」。シンガポール国民の男性には兵役があります。

(12)「乾杯!」。結婚式等のお祝いごとなどで使います。Yum Sengと書いてありますが、シングリッシュについて書いたウェブサイト等を見るとYam Sengと書かれているものも多いです。広東語の「飲勝」が由来だと言われています。成功のために乾杯!という意味でしょうか。グラスを片手に、Yaaaaaaaaaaaaと息が切れるまで大声を出し、息が切れそうになったら周囲の人とタイミングを合わせてSeeenngと言い終えます。結婚式ではこれを三回します。会場は大盛り上がりです。

(13)「儲かりますように!」。ファッ、アッ!と発音します。中国語で書くと、「发啊!」です。中華系の人達は、旧暦の正月には、同じように「どうぞ今年も/今年こそは儲かりますように!」といった意味を込めてで互いに「恭喜发财(Gong(1) xi(3) fa(1) cai(2) / ゴン(1) シー(3) ファー(1) ツァイ(2))」と言いあいますが、その「发财(儲かる)」の短縮版だと思います。ただ、短縮されたファッ、アッ!は福建語の発音です。

(14)グレート シンガポール ワークアウト。国民の健康増進のため、1993年に保険省によって開始された有酸素運動プログラム。15のステップからなり、大勢で一緒にできるものです。日本でいうラジオ体操でしょうか。この運動による健康維持だけでなく、健康維持のためには運動が欠かせないことを意識づけること、コミュニティーの結束を強めることも狙いとしているようです。

(15)「おかえり!」。後ろに見えるのはチャンギ国際空港。

(16)着ているのはサッカー、シンガポール代表のユニフォーム。

と、いろいろ調べながら(14)のグレート シンガポール ワークアウトまで来たところで、下記のページに辿りつきました。シンガポール政府が建国50周年に向け、シンガポールといえばこれ!、というものをicon(アイコン)としてひとつひとつ紹介しているページです。
http://www.iconsof.sg/en/Icons/GSW.aspx
グレート シンガポール ワークアウト、似てる!

http://www.iconsof.sg/en/Icons/erp.aspx
(6)OTH Lah!のERP、似てる!

で、ひとつひとつ見てみると、CHOPE、チリクラブ、Teh Tarik、Queue、SHIOK!、ドリアン、Yum Seng、Huat Ah!等、かなりこのサイトから「インスパイア」されていることがわかります。スタンプもシンガポールでしかダウンロードできないですし、シンガポール政府のこのサイトを見るのもシンガポール人がメインだと思いますので、似ていることに気がつく人は当然いると想定していて、意図的なものだとは思いますが、これをシンガポールのためだけに完全オリジナルで作ったLINEはさすが、外資企業としてその国に進出するならここまでやらなきゃ、と勝手に思っていただけに少し残念でした。定番の組み合わせであるTeh TarikとRoti Canaiを組み合わせて見た目としてもより面白みのあるものにしたのは評価できると思います 笑。

シンガポール政府の建国50年のサイトのアイコンで私が好きなのは、ライオンのシンガです。Courtesy Lion(礼儀のライオン)として1982年に、シンガポールがこれから発展していく中で国民が互いに礼儀を持った行動ができるよう登場しました。また2009年からはMascot for Kindness(親切のマスコット)を務めていましたが、2013年に「社会の怒りと不愉快さに疲れた」と引退してしまいました。いろいろな問題があるからといって、親切さや優しさをなくしていいのか?親切さや優しさには条件がつかなくてはいけないのか、人があなたに優しくなければあなたは優しくできないのか、誰がそのボールを初めに転がすのか?それとも、私たちは大変なときでも優しくなれる人たちなのか?との言葉を残しています。よりよい社会を作ろうという意志が伺えます。
http://www.iconsof.sg/en/Icons/singa.aspx


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