Saturday, February 28, 2015

[アジア市場] 新興国は日本と同じ道を歩まず、むしろ先を行く

1.東南アジアではどのように市場が伸びていくか
東南アジア市場の各国の状況をこれから理解しようとする人に対し「いまどの国の国民一人あたりGPDはどれくらいだから、この国は何十年前の日本と同じとイメージしてもらえれば。。。」と説明がなされることも多いと思います。確かに「国としてこれから成長していくポテンシャルを秘めている」、「今後の大きな成長に向けて今はその助走をしているフェーズにある」、とまさにイメージをしてもらうためにはいい方法だと思います。ただ、すべてが日本が辿ってきたのと同じ時間軸や成長の仕方を辿るかというと必ずしもそうでないと最近実感しています。

2.日本で拡大したものが同じように拡大せず、より新しいものが早急に拡大する可能性
日本の多くの企業では、会議の際の資料をプロジェクターでの投射で済ませずに、印刷してひとりひとりに配る「紙文化」がまだまだ残っています。そのため日本のオフィスでは高速で紙を印刷しホチキスで綴じる、冊子にする、Z字型に折るといった、高機能な印刷機が大活躍しています。一方で、私がインドネシアの会社を訪問したときのこと、若手スタッフはタブレット端末を使ってメモを取っていました。またベトナムの会社を訪問した時も、当方が事前に送付しておいた資料をiPadで見ながら説明を聞いています。個人的な印象からでしかないですが、これらの国では日本のような高性能な印刷機を導入する必要自体が発生しないこともあり得るのではと思います。平均年齢が日本よりも若く(インドネシア、ベトナムを含めた東南アジアの多くの国が20歳代、日本は46歳で今後更に高齢化)、日本より早期に社会全体が新しいものに順応していく側面もあると思います。

(持論ですが今日本企業が優位な状況にある機器は、①機器自体の物理的な動きを正確にコントロールすることが必要とされるもの(自動車や印刷機等)、②流体の物理的な動き・変化を精緻にコントロールすることが要求されるもの(インバーター式の空調機器等)、③レンズや機構等により光を高い品質でコントロールすることが必要とされるもの(カメラ・ビデオ等)、に集約されていると思っています。すでにパソコンや携帯電話、テレビ等、電気信号によってのみ処理がなされるものは韓国・中国等メーカーにシェアを奪われてしまいました。

①~③も今は日本企業が優位であっても、中国・韓国メーカーも同様に技術力・品質を向上し更には持前のマーケティング力でこのより物質的な制御が必要となる領域に攻め込んでくること、自動車産業であっても今後電気自動車が普及し製品の構造がいわゆる日本の得意な「すり合わせ型」から中国・韓国が得意とする「モジュール型」に移行していく可能性があること、から気を抜けない状況といえます。それに加え、前段で述べた印刷機のように日本企業が強みを持っているけれども、市場自体がそもそも日本と同じようには拡大せず早々に他のものに移行してしまう可能性もあることも想定した事業運営が必要だと思います。)

3.新規事業は日本市場ではなく東南アジアからの検討も
上記を踏まえ、ここからは仮説ですが、新規事業試行の場所として、事業内容に鑑みながら「日本よりも、まず平均年齢が若く社会全体が新しいものに順応する可能性のある東南アジアから」も選択肢として、東南アジアを梃子に事業を拡大しそれを日本に逆輸入するような事業の成長ストーリーも考えらえると思いますし、そういう事例がどんどん出てくればと思います。



Friday, February 20, 2015

[転職] 転職のススメ

やりたい仕事、会社でのキャリアをうまく重ねられている人はどれくらいいるのでしょうか。運良く、またはうまいこと社内でアピールした結果思い通りのキャリアパスを歩めている人。会社の中で与えられたキャリアパスを歩むのが人生だと考えている人。いろいろいると思います。

日本ではまだまだ新卒一括採用、中途採用はほとんど募集していないというような会社も多くあります。また一度会社に入ると、大企業であるほどひとりひとりの希望への細かい対応はできずに会社の論理で人事異動が行われます。これを前提にすると、冒頭のやりたい仕事、会社でのキャリアをうまく重ねられていない人が圧倒的多数いるのではとの考えに至ります。

このミスマッチを解消する方法として、①社内で公募制等を導入していて希望の部署で人を募集していればそちらへ応募する、②やりたい仕事をできる可能性の高い他社へ転職する、③これも冒頭で述べた会社の中で与えられたキャリアパスを歩むのが人生だと考える、の3通りが考えられます。①の方法をうまく活用し希望の部署への異動や海外駐在のチャンスを得た人も少なからずいると思いますが、必ずしもそういった機会に恵まれない人も多数いるはずです。その場合は、思い切って②を検討することをお勧めします。(でないと③になってしまいます。)

転職する際には、求人票が出ていてその内容に対して応募することになりますが、一般的には求人票で業務内容などが明らかにされているので自分のやりたい仕事がどんな会社にあって、どんな人を欲しているのかが分かります。見事にその会社に入社できれば自身が前職でなかなかありつけなかった希望の仕事を、まさに自分の主たる仕事としてすることができます。これが転職の素晴らしいところです。また、残念ながら面接試験に通らなかったとしても、面接官や転職エージェントとのやりとりを通じてその仕事をするためにはどんなスキルが、経験が必要なのかといったことを理解することができます。

そうすることで、転職の一歩手前のステップとして、現職で何を頑張れば、どういった役回りを買って出ればいいのかがわかり、逆に現職でやるべきこともあきらかになると思います。やりたい仕事と今の仕事にギャップがあり、今している仕事が手につかないよりもよっぽどいいと思います。
そして、社内で転職に必要な様々なスキル、経験、資格等(=パーツ)を集めて半年後、1年後、数年後に再チャレンジするのです。

一足飛びに将来像にありつけなければ、理想とする将来像を実現するために、次にこういった仕事をしたい、その仕事をするためにはこういったパーツが必要だと、将来から逆算してそれに向けて行動していくこともできます。スポーツ選手等、肉体的な条件から小さい頃から最短で競争を勝ち抜いてこないとなれない仕事でない限りは、多少時間がかかっても大丈夫です。

言いたいことはキャリアパスとは、転職を含むあらゆる手段を用いて打算的に積み上げていくものだということです。理想とする将来像を描いてアクションを起こし夢に近づいていってください。

もちろん転職だけを是としているわけではなく、企業側としても極力社内のミスマッチを解消するような仕組みづくり等の努力は必要です。

[コンサルタントの働き方] 人前でのあいさつ

今日はシンガポールでは旧正月の新年2日目です。旧暦の1月1日と2日が休日となっており、今年はちょうどそれが木・金にあたるので、土・日と合わせて4連休の人が多いです。出かけると中華系の家族が揃って親戚の家に挨拶に行く姿を目にします。

アジアとは直接は関係ないですが、実際に私が事業会社からコンサルティング会社に転職しコンサルタントとして働くなかで、これからの世の中で生きていくうえで、業種に関わらず参考にすべきコンサルタントの行動様式があること、またそれは意識することで誰にでもできることも多くあること、に気付きました。何回かに分けて紹介したいと思います。

人前でのあいさつ - 特にここでは飲み会などでのあいさつが対象です。飲み会の最後に「じゃあ締めの挨拶を」「ひとりひとり順番に送る言葉を」などと突然上司に話を振られることがあります。大部分のひとは、「いやいや、誰々が」「ここは得意の誰々さんが」となんとか自分に振られるのをかわそうとします。もしくは結局振られてしまってしどろもどろになってしまったりします。

でもここで何かためになる言葉、その場に合った言葉を話せれば、皆からは「さすが誰々さん」、「あの人は人前に出せる人だ」と認識してもらえるのではないでしょうか。優秀なコンサルタントの人達はこういう状況で「仕方ないなぁ」という表情はするものの、その後真面目な表情になり「さすが」という、また、家に帰って家族に話したくなるような中身のある話をします。

これを真似しろと言われても難しいと思う人もいるかもしれませんが、そんなに難しいことではありません。さすがに、込み入った議論のなされた会議の後に「じゃあ総括を」「最後にひとこと」と発言を求められて皆がなるほどと思う発言をするのは難しいですが(それもコンサルタントや企業の管理職が求められるスキルですが)、それほど難しくない状況も多いです。振られるテーマといえば、誰かの歓迎会や送別会では主役へのメッセージですし、久々に会う人との飲み会であれば最近身近にあったできごとのなかで共有するに値するもの、自分の昇進祝いであれば皆への感謝と自身が今後なっていきたい姿、またどのように皆に恩返ししていきたいか、社内で部門横断で集められたメンバーからなる会議の第一回であれば自分の普段している業務内容等、あらかじめ振られるテーマをイメージしておくことができるものも多いです。飲み会に向かう電車のなか、その日の通勤電車のなかでもいいので、ストーリーをあらかじめイメージしておくのです。

私が出会った優秀なコンサルタントはそういう先を常にイメージし、そのための準備をしておく、そういう行動様式が身についている人が多かったです。だからこそクライアントをリードできるのだと思います。ぜひ意識してみて、次の飲み会でそういう状況になったら、「じゃあ私が」と皆に中身のある話をしてあげてください。

※準備していったにもかかわらず上司が進んで挨拶をしてしまった、自分の送別会なのに話が自分に振られず送別会が終わってしまった等も当然想定されます。それで結局準備した内容が役に立たなくても、別の機会で話す機会があるかもしれないですし、なかったとしてもそれは潜在的な需要に対する投資や、掛け捨ての保険、そういうものだと思う潔さが重要です(笑)。




Tuesday, February 10, 2015

[Singapore] 旧正月間近のチャイナタウン

最近はシンガポールといえばマリナベイサンズとか、税金が安いとか、「先進的!さすが!」といったイメージで語られがちですが、一方で複数の文化が互いに影響を与え合ったりしながら受け継がれ、それに今でも触れられるのもまたシンガポールのよさだと思っています。

旧正月間近のチャイナタウンを散策してきました。
お金を模したランタンが道路の上に掛かっていたり、山羊(確かに羊の一種か)の形をしたランタンが道路の中央分離帯に飾ってあったりします。


家や店のドアの両脇に貼る春聯など中国のお正月飾りが沢山売られていました。今年は、中国語の四字成語"喜気洋洋(喜びが溢れる)"にかけて、"喜気羊羊"と書かれた飾りを多く目にします。

そして毎年旧正月にチャイナタウンに来ると気になっていたのが、チャイナタウンのなかにあるヒンズー教寺院、SRI MARIAMMAN寺院。寺院のあるブロックの周囲の道路の上に旧正月用のランタンを掛けるけるために寺院の塀を使わせているのを見て、周囲とうまく共生しているんだなと思いながら見ていました。

今年来てみると驚いたことに、寺院そのものに春聯と、英語で"LUNAR NEW YEAR", "WISHING EVERYONE A HEALTHY & PROSPEROUS"と中国語の"新年快乐", "祝你身体健康,万事如意(もしくは恭喜发财?)"に相当するであろうメッセージが貼られていました。パイナップルをかたどったランタンの飾りも掛けられています。改めてこの寺院の懐の深さを感じたような気がします。


異なる考えや宗教が共存するにはこういった互いを尊重するような振る舞いが大事であり、特に多民族のシンガポールだからこそ生み出された生きる知恵なのではと思いました。それにしても春聯の内容が富とか財とか、お金に偏ってるのが少し気になります 笑。



Saturday, February 7, 2015

ブログスタート

シンガポールを拠点に企業の東南アジア進出支援を仕事として行っています。
仕事や生活のなかで感じたことを書いていきたいと思います。
よりローカルな視点で発見し、考えたことを共有していければと思っています。