東南アジア市場の各国の状況をこれから理解しようとする人に対し「いまどの国の国民一人あたりGPDはどれくらいだから、この国は何十年前の日本と同じとイメージしてもらえれば。。。」と説明がなされることも多いと思います。確かに「国としてこれから成長していくポテンシャルを秘めている」、「今後の大きな成長に向けて今はその助走をしているフェーズにある」、とまさにイメージをしてもらうためにはいい方法だと思います。ただ、すべてが日本が辿ってきたのと同じ時間軸や成長の仕方を辿るかというと必ずしもそうでないと最近実感しています。
2.日本で拡大したものが同じように拡大せず、より新しいものが早急に拡大する可能性
日本の多くの企業では、会議の際の資料をプロジェクターでの投射で済ませずに、印刷してひとりひとりに配る「紙文化」がまだまだ残っています。そのため日本のオフィスでは高速で紙を印刷しホチキスで綴じる、冊子にする、Z字型に折るといった、高機能な印刷機が大活躍しています。一方で、私がインドネシアの会社を訪問したときのこと、若手スタッフはタブレット端末を使ってメモを取っていました。またベトナムの会社を訪問した時も、当方が事前に送付しておいた資料をiPadで見ながら説明を聞いています。個人的な印象からでしかないですが、これらの国では日本のような高性能な印刷機を導入する必要自体が発生しないこともあり得るのではと思います。平均年齢が日本よりも若く(インドネシア、ベトナムを含めた東南アジアの多くの国が20歳代、日本は46歳で今後更に高齢化)、日本より早期に社会全体が新しいものに順応していく側面もあると思います。①~③も今は日本企業が優位であっても、中国・韓国メーカーも同様に技術力・品質を向上し更には持前のマーケティング力でこのより物質的な制御が必要となる領域に攻め込んでくること、自動車産業であっても今後電気自動車が普及し製品の構造がいわゆる日本の得意な「すり合わせ型」から中国・韓国が得意とする「モジュール型」に移行していく可能性があること、から気を抜けない状況といえます。それに加え、前段で述べた印刷機のように日本企業が強みを持っているけれども、市場自体がそもそも日本と同じようには拡大せず早々に他のものに移行してしまう可能性もあることも想定した事業運営が必要だと思います。)
3.新規事業は日本市場ではなく東南アジアからの検討も
上記を踏まえ、ここからは仮説ですが、新規事業試行の場所として、事業内容に鑑みながら「日本よりも、まず平均年齢が若く社会全体が新しいものに順応する可能性のある東南アジアから」も選択肢として、東南アジアを梃子に事業を拡大しそれを日本に逆輸入するような事業の成長ストーリーも考えらえると思いますし、そういう事例がどんどん出てくればと思います。
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